戀紅
遊女屋の愛娘ゆうは大勢の花魁や男衆の中で、華やかな郭の裏も表も見て育った。ある日、芝居見物に出かけたゆうは升席にいる男を見て衝撃を受ける。5年前、雑踏で途方にくれていたゆうを救い、優しさで包み込んでくれた旅役者だった。一緒になれるなら滅びでもいい―そう心に刻んだ幼い日の記憶を頼りに、無名の役者に縋りついていく女の情念の世界を描く直木賞受賞作。
皆川 博子
1930年生まれ。東京女子大学中退。1973年、「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞。1984年、『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞。1986年、『恋紅』で第95回直木賞。1990年、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞。1998年、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞。
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