西周王朝とその青銅器
内容・目次
【書評】
・田畑 潤氏 2014年6月 六一書房書評コーナーでご覧いただけます
・『季刊考古学』第129号に飯島武次先生による書評が掲載されています。
【内容】
西周の青銅器はなぜ作られたのか
『史記』の記載によれば、周は夏・殷に続く第三の王朝であり、その王権の弱体化ののち春秋戦国期の社会再編成を経て秦漢帝国が誕生した。戦国時代の騒乱の背後に見え隠れするのは、西周時代以前のあるべき「中華」世界の恢復という観念である。しかしながら西周期の社会において、そもそも恢復されるべき実態がどこまで存在していたのかという問題を解決するためには、考古資料に基づいて当時の社会を実証的に検証することが不可欠である。
本書では西周時代の青銅器、特に儀礼の場で使われた青銅彝器に焦点を当てながら、西周王朝の政治的な構造と王朝的枠組みの広がりを検討し、西周時代におけ...
内容・目次
【書評】
・田畑 潤氏 2014年6月 六一書房書評コーナーでご覧いただけます
・『季刊考古学』第129号に飯島武次先生による書評が掲載されています。
【内容】
西周の青銅器はなぜ作られたのか
『史記』の記載によれば、周は夏・殷に続く第三の王朝であり、その王権の弱体化ののち春秋戦国期の社会再編成を経て秦漢帝国が誕生した。戦国時代の騒乱の背後に見え隠れするのは、西周時代以前のあるべき「中華」世界の恢復という観念である。しかしながら西周期の社会において、そもそも恢復されるべき実態がどこまで存在していたのかという問題を解決するためには、考古資料に基づいて当時の社会を実証的に検証することが不可欠である。
本書では西周時代の青銅器、特に儀礼の場で使われた青銅彝器に焦点を当てながら、西周王朝の政治的な構造と王朝的枠組みの広がりを検討し、西周時代における王朝の実態を明らかにすることを試みる。その実相に近づくことで、中国の古代国家形成過程の中で西周時代が果たした役割が明らかになるであろう。(東京大学博士論文に加筆刊行)
【目次】
第1章 西周史研究の意義と課題
第1節 文献資料に記載される西周史
第2節 西周史研究と問題の所在
1.西周遺跡の発掘史
2.西周王朝とその青銅器をめぐる研究史
3.課題の設定
第2章 西周青銅器の広がり
第1節 西周青銅器編年の枠組み
第2節 西周期の青銅彝器分布
第3節 西周期の青銅器文化圏
1.器種組成にみる地域性
2.青銅器文化圏の設定
3.西周青銅器文化圏の縮小と拡大
第4節 小 結
第3章 西周王朝と青銅器
第1節 関中平原における青銅彝器分布の変化
1.関中平原の地理環境
2.関中平原における青銅彝器出土状況
3.青銅器出土地点の時期的変遷
4.西周王畿における邑の性格
第2節 青銅器祭祀の変革とその背景
1.青銅器窖蔵の出現
2.斉家村石玦工房区墓地の被葬者と副葬青銅器
3.窖蔵の形態と位置
4.窖蔵青銅器の意味と周原遺跡の性格
第3節 周原と宗周
1.文献史料と金文史料にあらわれる西周の都
2.宗周の地をめぐる問題
3.「宗周」で行われる行為と「豐」「蒿」
4.「宗周」で行われる行為と「周」「成周」「■京」
第4節 小 結
第4章 諸侯国における受容形態
第1節 晋国墓地の研究
1.文献記録に見える晋国史
2.北趙晋侯墓地の発見と研究史
3.晋国青銅鼎編年
4.北趙墓地被葬者の再検討
第2節 ■国墓地の研究
1.■国墓地の発見とその概要
2.■国墓地の男女埋葬とその変化
3.■国墓地における副葬品系統の変化
第3節 西周青銅器銘文にみる礼制の受容
1.西周青銅器銘文研究と問題の所在
2.諸侯国における青銅彝器組成
3.金文類型とその地域性
第4節 小 結
第5章 西周の政体と領域