9条の戦後史
敗戦後の日本で問われずにきた原初の問いを、ゼロから考えなおすために。
加藤典洋、さいごの戦後論=9条論――
世界に先がけた理想として敗戦国日本にもたらされた憲法9条。だがその9条とのあいだに、私たち日本人は生きた関係を築けずにきた。原初からの問いを育てることができなかったからだ。もし9条が役に立ちうるとすれば、それを生かすのにいま、何が必要なのか――。
日米安保条約締結から、改憲派・護憲派の二項対立が形成される高度成長期をへて、冷戦終結後、対米従属を深め混迷にいたる現在まで。戦後史の深層を丹念に掘り起こし、ゼロからの問いを提起する。『9条入門』の後半として書き下ろされた、著者さいごの提言。
1948-2019 年。文芸評論家。早稲田大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書に『戦後入門』(ちくま新書)、『敗戦後論』(ちくま学芸文庫、伊藤整文学賞受賞)、『アメリカの影』『戦後的思考』(講談社文芸文庫)、『言語表現法講義』(岩波書店、新潮学芸賞受賞)、『増補改訂 日本の無思想』(平凡社ライブラリー)、『可能性としての戦後以後』『増補 日本人の自画像』(岩波現代文庫)、『人類が永遠に続くのではないとしたら』(新潮社)、『9条入門』(創元社)など多数。(撮影:坂本真典)
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