九年前の祈り
三十五歳になるシングルマザーのさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった。表題作「九年前の祈り」他、四作を収録。
小野 正嗣 (オノ マサツグ)
1970年生。大分県出身。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。パリ第8大学Ph.D。2001年、「水に埋もれる墓」で第12回朝日新人文学賞受賞。02年、「にぎやかな湾に背負われた船」で第15回三島由紀夫賞受賞。現在、立教大学文学部文学科文芸思想専修准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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