婆藪槃豆伝
大乗仏教史上、最も偉大な思想家ヴァスバンドゥ(世親・天親)。
その最古にして最も詳しい伝記である『婆藪槃豆伝』についての、基礎的で平易な、そして詳細な訳注書。
百年以上におよぶ世親伝研究の歴史を画する最重要成果。
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■第一章「眞諦譯『婆藪槃豆傳』原文」は,伝の漢語原文と校勘である。原文の文字は何か特定の一本に従うのでなく,大蔵経諸本その他を総合的に勘案し,現在分かる範囲で『婆藪槃豆伝』成立当時の原形に最も近い原文を提示する。諸本の原文に文字の相違がある場合,どれを採用しどれを採用しないかの詳細を校勘に示す。古典漢語の原文を適確に示すため,本章のみは常用漢字を用いず,正字で表記する。
■第二章「『ヴァスバンドゥ伝』現代語訳」は,第一章原文の和訳である。
■第三章「『ヴァスバンドゥ伝』語注」は,第二章和訳に対する注...
大乗仏教史上、最も偉大な思想家ヴァスバンドゥ(世親・天親)。
その最古にして最も詳しい伝記である『婆藪槃豆伝』についての、基礎的で平易な、そして詳細な訳注書。
百年以上におよぶ世親伝研究の歴史を画する最重要成果。
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■第一章「眞諦譯『婆藪槃豆傳』原文」は,伝の漢語原文と校勘である。原文の文字は何か特定の一本に従うのでなく,大蔵経諸本その他を総合的に勘案し,現在分かる範囲で『婆藪槃豆伝』成立当時の原形に最も近い原文を提示する。諸本の原文に文字の相違がある場合,どれを採用しどれを採用しないかの詳細を校勘に示す。古典漢語の原文を適確に示すため,本章のみは常用漢字を用いず,正字で表記する。
■第二章「『ヴァスバンドゥ伝』現代語訳」は,第一章原文の和訳である。
■第三章「『ヴァスバンドゥ伝』語注」は,第二章和訳に対する注である。第二・第三章の注番号は対応する。長い語注は,適宜段落を改め,理解の便を図る。
■第四章「『婆藪槃豆伝』訓読」は原文の訓読を示す。仏教文献のみで通用する訓読を避け,文字を呉音読みする以外は,一般的な訓読を心懸ける。
■第五章「解題と分析」は,第一章原文と第二章和訳の理解を助ける書誌学的解説と,他の諸資料との比較に必要な内容整理を行う。
以上の全体を通じて本書は,ヴァスバンドゥの思想を知るための基盤とすべき伝記の内容と関連事項を,可能な限り正確に紹介することに努める。
(「はしがき」より)